「生協とは?」歴史も踏まえてわかりやすく説明

生協PB商品1号「COOPバター」 生協の価値と役割

生協で宅配や店舗を利用しようと検討している方にも、既に組合員となって利用中の方にも「生協とは?」をなるべくわかりやすく纏めてみました。

「生協」は「会社」ではない

生協で配達したり、店舗で商品を売ったりするためにもちろん勤務している方はいるわけですが、「生協」は株式会社ではなく協同組合の一つで「消費生活協同組合」のことです。日本以外にももちろん「生協」があり、国際組織「国際協同組合同盟(ICA)」でも協同組合について次の様に定められています。

協同組合とは、組合員の要望を実現するために、事業活動を通じて人々が助け合う自主的な組織である。

株式会社の目的は高い利益を主目的としますが、協同組合は組合員ひとりひとりが主役であり、事業活動を通じて「地域社会の発展」「戦争のない平和な世の中」「貧困のない世界」など様々な活動を行う組織です。ですので生協の目的は「事業を通じて組合員のくらしへの貢献」となります。
また、事業を運営する組合員自身が生協を利用できるという点も株式会社と大きく異なる点となります。組合員でなければ、生協を利用することができないという所もポイントです。

生協宅配(協同組合)の世界の歴史

世界ではどのように生協が誕生したのか「世界の歴史」を紹介します。主にポイントとなるキーワードは次の通り。

  • 18世紀後半の「人権宣言」と「産業革命」
  • ロバート・オーエン(「協同組合の父」と呼ばれています)
  • イギリスのロッチデール公正開拓者組合

貧富の差が激しい時代に長時間労働や児童労働、各都市でのスラム化などの社会問題が背景となりさまざまな角度から労働条件の改善や人権問題の改革が行われた時代の中で生活協同組合も誕生しました。
初めて生協の売り場に並べられた商品は小麦粉とバター、砂糖、オートミールの4品と言われています。「ロッチデール公正開拓者組合」がつくられる以前にも数多くの生協はありましたが、小規模でも堅実で確かな事業運営という観点で「剰余金の分配」や「組合員1人1票制」などの運営原則が定められたことが現在の生協に多く通じるものがあると言われています。

生協宅配(協同組合)の日本の歴史

次に日本ではどのように生協宅配が誕生していったのかを見てみましょう。18世紀後半は日本では江戸時代末期~明治時代にあたり生協の誕生に伴い大きく関わった人物やポイントは次となります。

  • 二宮金次郎(信用組合の先駆者)
  • 大原幽学(農業協同組合の先駆者)
  • 大正デモクラシー
  • 賀川豊彦
二宮金次郎
大原幽学
賀川豊彦

左から二宮金次郎、大原幽学、賀川豊彦

第一次世界大戦によって好景気が訪れましたが、一方でその後の物価高騰や社会不安などが発生し「大正デモクラシー」と呼ばれる社会情勢が生み出されました。そんな中で立ち上がった賀川豊彦が神戸を本拠点として日本での生協は本格的な活動を始めました。
しかしながら、日中戦争や太平洋戦争へと戦争が拡大にするに伴い、戦争に非協力的・批判的であった生協の理念によりリーダーは拘束されてしまい消費生協組合の多くは解散を余儀なくされてしまいました。

昭和の戦後に日本生協連の設立

長かった戦争が終わるとともに凶作や統制経済が続く中で食糧確保が国内で切実な問題となったこともあり、生協運動も一気に加速し再生が行われました。戦前からの生協も事業を再開することができたり、新しく生協が発足し全国で6,000以上の組合が誕生し組合員数も300万人を超える規模に成長しました。

そんな中で日本協同組合同盟が1945年に設立され、1948年に消費生活協同組合法(生協法)が制定・施行されました。約6,000もの生協は小規模での活動であったことから解散や合併を繰り返し徐々に現在の生協の形となっていきます。こうした中で、1951年に日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連)が設立され初代の会長が賀川豊彦です。

班が生協運動の基礎組織

生協の班配達

昔も今も地域生協で店舗事業を展開しているところは数多くありますがやはりメインとしている事業は宅配サービス事業となります。今は各個人の家へ直接配達する「個配」が多くなってきていますが、生協の配達が始まった当初は3人以上が1つの場所へ商品を受け取りに行く「班」(協同購入)が主流となっていました。「班」配達を主軸にすることによって組合員が主人公となり生協運営を行えることが強みでありここまで生協が大きくなったのは班による共同購入事業のおかげと言えます。

生協商品第一号は「生協バター」

生協バター

安心・安全な商品を組合員へ届けたいという理念をもとに生協ではプライベート・ブランド(以下、PB)が今までに数多く開発されています。その中でも日本生協連が開発した生協商品の第一号が「COOP生協バター」です。1950年代に多くの消費者団体と一緒になって物価値上げ反対運動やメーカーが管理する価格に対する反対運動を実施した際に商品を入荷できない事態となったことから生協でも商品を開発するようになったと言われています。

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